皆さんこんにちは!
声楽家・ボイストレーナーのかおりです🎵
今回も、音楽高校・音楽大学・宝塚音楽学校を受験される皆さまへ、例年課題となる楽曲を題材としてワンポイントレッスンの形でお伝えしたく思います。ぜひ、ご参考いただけますと幸いです。
今回取り上げる曲、イタリア歌曲集《Per la gloria d′adorarvi》“お前を讃える栄光のために”に関して動画でも解説してます。併せてご試聴いただくとより理解が深まるかと思います😊
イタリア歌曲集《Per la gloria d′adorarvi》“お前を讃える栄光のために”解説動画
歌詞の発音
それでは、まず歌詞の発音から練習してみましょう!
【Per la gloria d′adorarvi】
《お前を讃える栄光のために》
G.B.ボノンチーニ作曲
Per la gloria d′adorarvi
(ペル ラ グロリア ダドラルヴィ)
voglio amarvi – o luci care.
(ヴォリョ アマルヴィ オ ルチ カレ)
Amando penerò;
(アマンド ペネロ)
ma sempre v′amerò – nel mio penare.
(マ センプレ ヴァメロ ネル ミオ ペナレ)
Senza speme di diletto
(センツァ スペメ ディ ディレット)
vano affetto – è sospirare:
(ヴァノ アフェット エ ソスピラレ)
ma i vostri dolci rai
(マ イ ヴォストゥリ ドルチ ライ)
chi vagheggiar può mai – e non v′amare?
(キ ヴァゲッジャル プオ マイ エ ノン ヴァマレ)
【対訳】
お前を讃える栄光のために
私はお前を愛したい、いとしい瞳よ
愛すれば苦しむだろう。
しかし苦しみながらもお前を愛し続けよう。
歓びを得る望みも無く
溜め息をつくのは虚しい愛情だ。
しかしお前のやさしい眼差しに見とれながら
誰がお前を愛さないでいられようか。
こちらをゆっくり発音してみてください。
一定の速度でスムーズに発音できるように練習すると、実際歌うときにも活かされますよ♬
この曲も愛がテーマですね💛愛の苦悩を抱きつつも、愛する喜びの思いが歌われたとても華やかな一曲です✨
明るく情熱的に歌っていただきたい一曲かと思います!
ワンポイントレッスン
それでは続いて歌の方のワンポイントレッスンに入っていこうと思います💡
今回もポイントを3つに絞って解説していきたく思います。
1つ目 〜冒頭”Per la gloria d’adorarvi”〜
1つ目はこちら💡
この曲もまずはやはり出だしのフレーズですね!
ここの出だしで華やかさをしっかり表現することができれば、審査員へ良い印象を持っていただけることと思います💫
華やかさを表現するには、やはり声の美しい響きが大切になってきます。
美しいレガートの豊かに響く声で、伸び伸び歌うことができるよう意識していただけたらと思います。
ただここのフレーズ、結構音の動きがあるので、息の流れをコントロールしずらく、固い音になってしまいやすい部分でもあります💡
そうなると、余計な腹圧がかかることで歌う時に息の流れが止まり、勢いで歌ってしまうことに繋がってしまいます。
広いホールで心地よく、よく響く声で歌うためには、息に乗った声であることが求められます💡
息に乗った美しい響きで歌うことが華やかな表現に繋がりますので、まずはぜひそこを目指していただけたらと思います🎵
ですので、この息に乗った華やかな響きの声=美しいレガートラインの声を得るために、正しく息の流れをコントロールする意識を持って練習してみましょう。
一番効率が良いのは、やはり母音で練習することになります。
ここは閉口母音の“お”にて丁寧に息の流れを意識して、横隔膜が固くなってしまわないようスムーズに動くようにフレーズラインを作っていきましょう🎵
これが慣れてきたら、その感覚を意識した状態で歌詞を付けて歌ってみてください。
こちらをぜひ交互に行い練習してみてくださいね!
まずは大きなホールの後ろまで豊かに華やかに響く声を得るために、閉口母音《お》にて丁寧に息の流れをコントロールしながら練習してみましょう。
スポンサーリンク
2つ目 〜”voglio amarvi o luci care”〜
続いて2つ目のポイントです。
“voglio amarvi o luci care”ここのフレーズのトリル(tr)以降の部分になります。
“care”の部分ですね!
このトリルの部分、何となく流して歌ってしまいがちかと思うんですよね。
トリルであっても、まずはゆっくりしっかり息の流れに乗った声で歌えるように練習していただくと、全体の流れの中でこのトリル部分が生きてきます。
ここのトリルはソとラを交互に歌うのですが、実際にゆっくり横隔膜の動きで支えつつ交互に発声してみてください。慣れてきたら、少しずつ速くしていきます。
そして、その後の装飾音も大切になります!
ここ、何となくトリルを歌ったあとあせって不必要に速く歌ってしまいがちなんですよね💦
装飾音部分の“ファソ”も、しっかり息に乗った響く声で歌う必要があるので、ここも含めてゆっくり丁寧に練習されてみてください。
きっと美しいレガートラインで歌えるようになりますよ✨
トリルから装飾音にかけて、一度テンポを落として、ゆっくり息の流れを意識して発声しましょう。
3つ目 〜”penero,v’amero,luci care”〜
はい!それでは最後のポイントです🎵
“penerò, v′amerò,luci care”のフレーズになります。
ここは、この曲の一番のアピールポイントになりますね!
ます、華やかにフォルテ(f)で歌い、その後すぐ同じフレーズを繰り返す形でピアノ(p)で歌うという技術が求められる部分でもあります💡
ここは、特にピアノで歌うことがより技巧的になるので、そこを解説したいと思います。
ピアノの方は、最高音にフェルマータが付いてます。これが難易度が高くなるポイントになります。
最高音でフェルマータは、横隔膜に不要な力が入りやすく固くなってしまいやすいんですね。
そうすると息の流れが止まってしまうので、フェルマータで伸ばそうと思っても上手く声が出せなかったり、声に伸びが出なかったり、ピアノとはいえほとんど響きのない声となってしまったりと、上手く良い発声の流れを作るのが難しかったりします。
なので、ここもまずは母音のみで、閉口母音の《お》にて息の流れのラインをまずは作っていきましょう。
ピアノ部分のフレーズの歌いはじめは、できるだけ息をぶつけてしまわないように点で発声するように意識します。
そして、“v′amerò”の“ merò ”このmeからròに移行するときに横隔膜の動きで声のラインを導いていきます。ここ重要です💡
横隔膜の動きがないと、息の流れが止まってしまい、十分にフェルマータの表現ができなくなるので、このフェルマータに向かって横隔膜の動きで音と音の架け橋を作っていくイメージで丁寧に母音で発声してみてください。
次第に、楽に最高音を伸ばしてフェルマータできる感覚を掴めるようになるかと思います!
実はピアノの表現のときほど、横隔膜のサポートが必要になるのです。
ここは、結構技巧的な部分なので、焦らず繰り返し練習されてみてくださいね💫
これができたら、口元をできるだけ変えずに歌詞を発音してみてください。
ピアノの表現のときほど、横隔膜の動きによるサポートが必要になるので、まずは母音のみ(閉口母音《お》)で息の流れを意識してフェルマータまで丁寧に歌う練習をしましょう。
結びに
お疲れさまでした🎵
ワンポイントレッスン如何でしたでしょうか?
最初にご案内しました動画もぜひ併せてご覧ください。より感覚が掴めることと思います🌟
今回の曲は、大変華やかで受験曲として評価にも繋がりやすい曲ではありますが、それだけ技術が必要になる曲でもあります💡
ですので、まずはできるところから少しずつ意識して練習していただけたらと思います。
様々な技術が詰まっているので、この曲がしっかり表現できるようになれば色々な歌が歌いやすくなることと思いますよ✨
ぜひ、声をさらに磨くためにも取り組まれてみてくださいね!
発音に関しても、他の曲と同じく何回か繰り返し練習されることで次第に慣れてくるかと思いますので、楽しみながら取り組まれてみてください♪
最後までご覧くださりありがとうございました✨