皆さんこんにちは!
声楽家・ボイストレーナーのかおりです🎵
今回も、音楽高校・音楽大学・宝塚音楽学校を受験される皆さまへ、例年課題となる楽曲を題材としてワンポイントレッスンの形でお伝えしたく思います。ぜひご参考いただけますと幸いです。
今回取り上げる曲、イタリア歌曲集《Nel cor più non mi sento》“もはや私の心には感じない”に関して動画でも解説してます。併せてご試聴いただくとより理解が深まるかと思います😊
イタリア歌曲集《Nel cor più non mi sento》“もはや私の心には感じない”解説動画
歌詞の発音
それでは、まずは発音の練習を行ってみましょう🔰実際に声に出して丁寧に発音してみてください。
Nel cor più non mi sento
“もはや私の心には感じない”
G.パイジェッロ作曲
Nel cor più non mi sento
“もはや私の心には感じない”
(ネル コル ピウ ノン ミ セント)
brillar la gioventù;
“青春の輝きが感じられない。”
(ブリッラル ラ ジョヴェントゥ)
cagion del mio tormento,
“私の苦しみの源、”
(カジョン デル ミオ トルメント)
amor, sei colpa tu.
“愛よ、お前のせいだ。”
(アモール セイ コルパ トゥ)
Mi pizzichi, mi stuzzichi,
“お前は私をつねり突っつき”
(ミ ピッツィキ ミ ストゥッツィキ)
mi pungichi, mi mastichi,
“突き刺し噛み砕く。”
(ミ プンジキ ミ マスティキ)
che cosa è questo, ahime?
“これはいったい何だろう、ああ。”
(ケ コザ エ クエスト アイメ)
Pietà, pietà, pietà!
“憐れんでおくれ、憐れんでおくれ。”
(ピエタ ピエタ ピエタ)
Amore è un certo che,
“愛とは私を絶望させる”
(アモーレ エ ウン チェルト ケ)
che disperar mi fa!
“何ものかだ。”
(ケ ディスペラル ミ ファ)
まずはゆっくりで構いませんので、できるだけ一定の速度でスムーズに発音できるように練習してみてください。これができるようになると、実際歌うときもスムーズに発音できるかと思います。
この曲も、見ての通り愛がテーマとなった詩ですね!その中でも失恋、愛の苦しみが歌われた内容となってます。
ただ、そういった深刻さは一切感じさせず、とても軽やかで明るいメロディーの曲となってます✨
なので、あまり深刻にならずに軽く明るい気持ちで歌えると、この曲の良さが引き立つように思います💫
ワンポイントレッスン
それでは続いて歌の方のワンポイントレッスンに入っていこうと思います!
今回もポイントを3つに絞って解説していきたく思います。
1つ目 〜冒頭 “Nel cor piu non mi sento”〜
それではます1つ目は、
“Nel cor più non mi sento brillar la gioventù;”
ここの部分になります💡曲の冒頭ですね!
このフレーズの中で特に32音符の動きの部分“brillar la gioventù ”注目したいと思います。
そもそもここは曲の最初のフレーズなので、試験時に審査員へ大きく印象を与える部分になってくるんですね!
なので、ぜひとも良い印象を持っていただけるようしっかり歌っていただきたいのですが、この32音符がネックになりやすいんですよね。
基本的にフレーズは美しいレガートラインを意識してもらいたいのですが、そこに速い動き=32分音符があると、焦って不自然に歌ってしまうことが予想されます。
そうなると息の流れが止まりやすいので、フレーズの中で突然響きが損なわれた歌声になりやすく、自然な美しいレガートラインを保てなくなり、結果として、歌の出だし時点で審査員へあまり良い印象を持ってもらえなくなるんですね😥
逆に、ここを美しい歌うことができれば好評価に繋がる可能性が高まります!
ですので、まずはこの32分音符をしっかり息に乗せた声で歌うことができるように練習していただければと思います。
“brillar la gioventù ”をまずはゆっくりのテンポで、32分音符もゆっくりテンポを落として、一音一音響く声で発声できるように練習します。
始めのうちは閉口母音の“お”で母音練習をすると、レガートで歌える感覚を掴めることと思います。次第にしっかり歌えるようになりたしたら歌詞をつけてみてくさい。このときも、まずはテンポを落としてゆっくり練習されてみてくださいね。
息の流れが止まらないように、32分音符のテンポを落として一音一音しっかり響く声で発声できるように練習しましょう。
2つ目 〜”cagion del mio tormento”〜
続いて2つ目のポイントは、
“cagion del mio tormento”の部分になります。
ここは装飾音がポイントになります。1つ目のポイントと似ていますが、ここも急に速く歌いすぎてしまったりと、美しいレガートラインが損なわれてしまいやすい部分なので丁寧に練習していただきたい部分になります。
ここも丁寧に“お”の母音にて、ここのフレーズ全体が均一の響きで無理なく歌うことができるように繰り返し練習されてみてください。
そして、装飾音の部分はあえて少しテンポを落としていただくと、レガートの流れを保って歌う感覚が次第に掴めることと思います😊
装飾音が鋭くならないように、滑らかに歌うことがポイントです🎵
装飾音で固さが出てしまわないように、フレーズ全体を滑らかに歌えるよう意識しましょう。
スポンサーリンク
3つ目 〜”Amore e un certo che,ah,che disperar mi fa”〜
はい!それでは最後のポイントです💡
“Amore è un certo che, ah, che disperar mi fa!”
ここの歌い方になります。
途中の“ah,”の部分は実際歌詞には記載されてませんが、ここのフェルマータからのカデンツ部分は“ah,”で歌うよう決まりがあります。《“ah,”=あぁ!》いわゆる感嘆詞ですね!発音もそのまま“アー”で歌っていただきます。
まさに、ここの“ah,”で歌っていただく部分の表現の仕方がポイントとなってます。
そもそもこのフレーズを何となくサラッと歌ってしまうと、聞いている人に『あれ?何だか最後はあっけなく終わったな。。。』という印象を与えてしまう可能性が出てくるんですよね💦
ここはあえて、効果的にテンポに緩急つける意識を持つことで、表情豊かに表現することができるんですよね✨
まずは、“ah,”のフェルマータからカデンツの部分はとにかく焦らず、実際の音符の長さは気にせずたっぷり歌います。
そして一度体を弛めてから、雰囲気を一瞬で変えて明るく“che disperar mi fa!”と決然と軽快に歌います。
そうすることで“disperar(絶望する)”の言葉のネガティブさが軽減され、重くならない雰囲気で曲のイメージに合った軽快さを表現することができます!
また直前のたっぷり歌うカデンツからパッと切り替えて軽快に歌いきることで、曲に立体感、メリハリが生まれ、表情豊かな音楽になりますよ😊
フレーズに立体感を出せるよう、フェルマータからカデンツにかけてはたっぷり歌い、最後のフレーズは切り替えて軽やかに歌ってみましょう。笑顔で😊
結びに
お疲れさまでした🎵
ワンポイントレッスンは如何でしたでしょうか?
最初にご案内しました動画もぜひ併せてご覧ください。より感覚が掴めることと思いますよ🌟
まずは、できるところから少しずつ意識して練習していただけたらと思います。
今回の曲は、曲自体が比較的短くあっという間に終わってしまう曲ではありますが、表現力が求められる曲になりますので、この曲をしっかり取り組むことで他の歌も表情豊かに歌うためのコツが掴めるようになるのではないかと思います!
ぜひ笑顔で楽しい雰囲気でのびのびと表現してみてくださいね🎶
発音に関しても、何回か繰り返し練習されることで徐々に慣れてくるかと思います。まずは繰り返し練習する習慣作りを意識しましょう!
イタリア語の響きを楽しみつつお声を磨かれてくださいね🎶
最後までご覧くださりありがとうございました✨