皆さんこんにちは!
声楽家・ボイストレーナーのかおりです🎵
今回は、音楽高校・音楽大学・宝塚音楽学校を受験される皆さまへ、例年課題となる楽曲を題材としてワンポイントレッスンの形でお伝えしたく思います💫ぜひご参考いただけますと幸いです!
今回取り上げる曲、イタリア歌曲集《Caro mio ben》“愛しい人よ”に関して動画でも解説しています。併せてご試聴いただくとより理解が深まるかと思います。
イタリア歌曲集《Caro mio ben》“愛しい人よ”解説動画
このイタリア歌曲集は、声楽課題がある学校を受験する際に必ず通る道なんですね。
ただ、初めて取り組む場合イタリア語の曲と聞くと抵抗があるかもしれません💦
私が最初に取り組んだのはちょうど中学2年生の頃でしたが、はじめのうちは抵抗ありましたね。。
ですが、幸いにもイタリア語は多くをローマ字読みで発音することができるのです💡
受験生ちゃん私もできそう!
もちろん細い部分を見ていくと実際は《l》と《r》で発音の仕方が違ったりなど色々と決まりがあり、ローマ字読み出来ないものもあります。
ただ、はじめから完璧を目指さずに、まずは“それらしく”発音して歌ってみることで、イタリア語の歌詞を歌うことへの抵抗感を無くすことが大切だと思っています!※私自身、はじめのうちは一生懸命カタカナをふって練習していました✏️
そうしてそれらしく練習をしていくうちに、イタリア語の曲を歌うことに徐々に慣れていくことでしょう!
ただ漠然と苦手意識だけを持っていると、なかなか練習しようと思えないですし時間ばかりが過ぎてしまい上達までの道のりはどんどん遠くなってしまいます。
なので初心者の方ほど、まずは実践して慣れるということが大切になってきます✨
歌詞の読み方
それでは、まずは曲の歌詞の読み方から練習していきましょう!
Caro mio ben
『愛しい人よ』
G.ジョルダーニ作曲
Caro mio ben,
《愛しい人よ》
(カロ ミオ ベン)
credimi almen,
《せめて私を信じておくれ。》
(クレディミ アルメン)
senza di te
《貴女がいないと》
(センツァ ディ テ)
languisce il cor.
《心が窶れてしまう。》
(ラングイシェ イル コル)
Il tuo fedel
《貴女に忠実な男は》
(イル トゥオ フェデル)
sospira ognor.
《いつも溜め息をついている。》
(ソスピラ オニョル)
Cessa, crudel,
《やめておくれ、むごい人よ、》
(チェッサ クルデル)
tanto rigor!
《そんなつれないことを。》
(タント リゴル)
上記のように、まずはカタカナ読みで構いませんので、ゆっくり口に出して発音してみましょう。次第に発音すること自体に慣れてくることと思います。
この歌の歌詞から既に何となくイメージができていることと思いますが、今回扱うイタリア歌曲を含め、こうした芸術歌曲のほとんどが“愛”がテーマとなっています✨
様々な愛の形がテーマとなって、美しい音楽とともに私たちにメッセージを届けてくれています。
また、イタリアは昔から芸術を身近なものとして大切にしてきた国なので、その文化を代表するものの一つであるイタリア歌曲を学ぶことで、自然とイタリアの魅力を深く知ることができるのです💫
さらに、こうしたイタリア歌曲は西洋音楽(クラシック音楽)を学ぶうえで大切な基盤となりますので、ぜひしっかり学びましょうね!
ワンポイントレッスン
それでは続いて歌の方のワンポイントレッスンに入っていこうと思います💡
今回はポイントを3つに絞って解説していきたく思います。
1つ目 〜冒頭”Caro mio ben”〜
それではまず1つ目は、
出だし部分
になります。
こちらの冒頭部分“Caro mio ben”のまさに歌いはじめの部分ですね(画像の○で囲っている部分)。
楽譜を見ていただくとお分かりいただけるかと思いますが、第一声の音が少し高めなんですよね。
前奏を聞いて、いざ声を出すというときに高い音だと、体に余計な力が入ってしまいやすいのです💦
ただ、受験時や所謂審査をされるときというのは、結局第一声で決まると言っても過言ではありません💡
伸びやかな美しい響きの第一声で審査員の心を掴めるかが大切になってきます!
結局、第一声が素晴らしいと、審査において基準点が高いところからスタートするので、歌の途中でよっぽどのことがない限り大きく減点されることってほとんどないように思います。
ただ、逆に最初で躓いてしまうと、基準点が低い状態からのスタートとなるので、歌の最中で挽回することが難しくなることがほとんどなんですよね。。
ですので、この曲においても最初の第一声を無理な力が入ることなく伸び伸びと美しい声で歌えるように日頃から意識して練習することがまず大切になってくることと思います💡
さらに、この曲は第一声の冒頭部分の難易度が比較的高いため、ここをしっかり歌えるようになれば試験時においてもとてもポイントが高くなることと思います🎵
できるだけ体はリラックスした状態で出だしを『点』で発声してから息を送りましょう。
冒頭部分の『Ca』は母音が“ア”で開口母音なので、発声する瞬間にどうしても必要以上に息が吐かれてしまい余計な腹圧がかかり結果として、伸びやかではなく固い声で歌ってしまいやすいんですよね。さらに、音も高めなので余計に固くなってしまいやすいかと思います💦
声が固くなり伸びやかさが足りない状態ですと、美しいレガートラインを表現することができなくなるので、結果としてこの曲の良さを発揮しずらくなってしまうことが考えられます💡
なので、必要以上に固くならないようにするために、歌いはじめの一瞬だけ、軽く点で発声するようにしてみましょう。この点で発声するときに腹圧が急に大きくかからないように横隔膜が下りた状態で、できるだけ体がリラックスした状態で発声できるかどうか練習してみましょう✨
そして、点で出せたらそのあとはすぐ横隔膜をしっかり使って、上げていきながら息をスムーズに送ることで、声帯周辺に余計な力みが入ることもなくスムーズに無理なく響く声で歌うことができるようになるかと思います。
まずは、このことを丁寧に意識して練習されてみてくださいね🎵
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2つ目 〜”Il tuo fedel sospira ognor. Cessa, crudel, tanto rigor!”
続いて、2つ目のポイントは💡
“Il tuo fedel sospira ognor. Cessa, crudel, tanto rigor!”
ここの部分のp(ピアノ)からf(フォルテ)への表現の仕方がポイントとなります。
そもそも、f(フォルテ)の表現というのはクラシックにおいては単に大きな声を出す訳ではなく、より無理なく美しく響く声で発声することを指します。
まずはここのフレーズのはじめのp(ピアノ)の部分をできるだけ余計な腹圧をかけないように歌っていきましょう。そして、f(フォルテ)の部分“Cessa”の前に一度横隔膜を弛めます。
そうすることで、余計な体の力みが取れるので、そのようにしてから“Cessa”部分を歌っていただけたらと思います。このとき、“Cessa”の“Ce”を発声する瞬間はまだpのままで点で発声し、点で発声した瞬間にしっかり横隔膜を使って息を送っていくとスムーズにfの表現でありながら美しいレガートラインで歌うことができるようになるかと思います✨
fで表現するときであっても、その音を発声する瞬間はpを意識して、そのあとすぐ横隔膜をスムーズに動かすことが美しいレガートラインを作りつつpからfの表現を効果的に歌うコツです。
3つ目 〜”tanto rigor! Caro mio ben”〜
では、最後の3つ目のポイントですが
“tanto rigor! Caro mio ben”
のppp(ピアニッシシモ)の表現で“Ca”を歌う部分に注目したいと思います。
ここの部分ですが、声を小さく出すからと言って横隔膜をほとんど使わないということではないんですね💡
逆に、pppの美しく繊細な響きの表現が求められているときほど、横隔膜の支えが必要になります。
ここは、“tanto”の後一度横隔膜を弛めて、その後またゆっくり腹圧をかけて歌っていくのですが、“rigor! Ca~”のpppで“Ca”を歌うときに“rigor!”から横隔膜を丁寧に動かしながらpppの美しい響きで“Ca”まで導いていく意識をまず持ってみましょう!そうすることで、美しいpppでありながら響きのある声で表現できる感覚が次第に掴めることと思います💫
ppp(ピアニッシシモ)ほど、美しく歌うには横隔膜の支えが必要になってきます。
結びに
お疲れさまでした🎵
歌うためのコツ、少し掴まれましたでしょうか?
最初にご案内しました動画も併せてご覧ください。より感覚が掴めることと思います。
こうしたシンプルな美しいメロディーの曲ほど、実は大変奥深く歌うことが難しかったりします⚠️
この曲を練習することで美しいレガートラインで、声が固くならないように自然に響く声で発声できるようになることを目指せれば良いかと思います✨
ぜひ、今回お伝えしたポイントを一つずつ意識して日頃の練習に取り入れてみてください☺️
発音に関しても、何回か繰り返し練習されることで次第に慣れてくることと思います。
イタリア語の響きを楽しみつつお声を磨かれてくださいね🎶
最後までご覧くださりありがとうございました✨